DIAMOND 一般知識編
目次
◆ 1.ダイヤモンドとは
1.1 ダイヤモンドの歴史
◆ 2.ダイヤモンドの希少性
2.1 ダイヤモンドの産出国
◆ 3.ダイヤモンドの物質的性質
3.1 ダイヤモンドの硬度
3.2 ダイヤモンドの比重
3.3 ダイヤモンドの屈折率と分散率
3.4 輝きの3要素
3.5 結晶構造
3.6 ダイヤモンドの疎水性と親油性
3.7 ダイヤモンドのタイプ
3.8 ダイヤモンドの傾向性
3.9 ダイヤモンドの熱伝導性
3.10 天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンド
◆ 4.ダイヤモンドの4C
4.1 ダイヤモンドの4Cとは?
4.2 Carat:カラット(重さ)
4.3 Color:カラー(色)
4.4 Clarity:クラリティ(透明度)
4.5 Cut:カット
4.6 ダイヤモンドの主なシェイプ一覧
4.7 ラウンドブリリアントカットの部位の名称
◆ 5.ダイヤモンドのお手入れ方法
5.1 自宅でのクリーニング
5.2 自宅でのクリーニングの手順
5.3 プロのお手入れ
◆ 6.宝石各種早見表
6.1 国別誕生石一覧
6.2 星座石
6.3 モース硬度表(ヌープ硬度表)
6.4 結婚記念日宝石一覧
6.5 比重と屈折率
6.6 リング国際サイズ比較表
6.7 有名なダイヤモンド
ダイヤモンドは、炭素の同素体の1つであり、地球上の天然石で最も硬い物質です。
数億~数十億年ほど前に、地球深部で超高温、高圧力を受けたマグマの中の炭素成分が、ダイヤモンドに結晶化しました。マグマの中で成長したダイヤモンドは火山の噴火や地核変動を受けて地表近くに噴出し、それが現在、我々が手に入れられるダイヤモンドです。
ダイヤモンドという名前は、ギリシア語の αδάμας(adámas アダマス 征服し得ない、屈しない)に由来しています。
4月の誕生石であり、宝石言葉は「永遠の絆・純潔・不屈」など。その石言葉から、エンゲージリングに選ぶ人が最も多い石です。
やがて、15世紀にベルギーで現代に通ずる研磨法が発見されます。その後研磨技術が発達し、輝きを美しく見せるようなカットの方法が考えだされることによって、徐々に宝石としての価値が高まり、ヨーロッパの王侯貴族の間ではダイヤモンドを所有することが流行しました。
ダイヤモンドの産地は、長い間インドだけでしたが、18世紀にはブラジルでも発見されました。そして19世紀後半には、南アフリカでも発見されて採掘が始まりました。その後、さまざまな国で発見されています。
素直に成長した結晶構造の多くは8面体(オクタへドロン)で2つのピラミッドを底辺で上下逆さまにくっつけたような形をしています。8面体以外に12面体(ドデカヘドロン)のものもあります。8面体や12面体の良質な原石はわずかしか産出されません。マグマの高温高圧な状況下で結晶がねじ曲がってしまっているものがほとんどです。産出されるダイヤモンドの80%以上は工業用として使用され、宝飾用は20%以下と、とても希少価値の高い宝石です。
インドで紀元前7~8世紀に発見された当初の採掘は、川床の砂礫の中から拾うというスタイルでしたが、現在では、露天掘りや地下採掘方法などが主流になっています。
ダイヤモンドは炭素原子の集合体で、元素同士の結合間隔、方向がどこから見ても一定で、ゆがみがありません。そのため炭素原子同士の結びつきが非常に強いのです。それがダイヤモンドが硬い最大の理由です。
比重とは鉱物で使われる場合、石の密度を表す値となります。
ダイヤモンドの比重は鉱物の中では、高くも低くもなく、比重は石の価値とは関係ないといえます。
ダイヤモンドの屈折率は2. 42 と高く、物質中で最も大きい部類に入ります。内部で全反射が起こりやすく、それゆえに美しく輝きます。分散率も、0.044 と高く、これらの特性がカット加工を施したダイヤモンドの輝きを生み出します。
●ファイアー:プリズムによる虹色の輝き(ディスパージョン)
ダイヤモンドが特に屈折率と、分散率が高いことにより、入った光が内部で複雑に反射を繰り返すことによって赤や青などの光に分解され外に出てきます。この効果によってダイヤモンドは虹色に輝きを放ちます。
●ブライトネス:ダイヤモンドを正面から見たときの白色光(ブリリアンシー)
ブライトネスとは、ダイヤモンド全体から出てくる光による効果のことです。
上から入る全角度の光は、中央に集約されて、強く明るい光の集合となって内部反射しダイヤモンドならではの明るさの存在感を示します。
●スパークル:主にファセット面からの反射光(シンチレーション)
外部、または内部からのファセットの反射のことをスパークルといいます。ダイヤモンドの反射の力はガラスの約4倍。したがって、カットグレードのポリッシュ(仕上げ)はこの美しさの大切な要素となります。
この特性を用いてダイヤモンドはカットされています。素直な原石は丸みを帯びた8面体、12 面体が素直に成長したダイヤモンド原石といえます。
その一方で、親油性があり、油が付きやすい性質を持っています。皮脂や、化粧品などの油分などで簡単に石が曇ってしまうため、ダイヤモンドの輝きを保つには、こまめなお手入れが重要となります。
タイプ1型......窒素を含むタイプのダイヤモンド。天然ダイヤモンドの全体の約98%はこのタイプに分類される。
●1a型……窒素原子が集合体を作っている。一般的なダイヤモンドのほとんどがこのタイプで、カラーはDからZ。
●1b型……窒素が単独で存在している。ファンシーインテンスイエローなど濃い黄色系を生む。
タイプ2型……窒素を含まないタイプのダイヤモンド。このタイプのダイヤモンドは天然ダイヤモンド全体の約2%ほどしかないといわれている。
●2a型……窒素やホウ酸など不純元素を含まない。無色、褐色、ピンクが存在する。
●2b型……不純物としてホウ素を含む。ブルーダイヤモンドはこのタイプに属す。
その程度により、None(全くなし)、Faint(かすかに)、Medium Blue(中程度の青蛍光)、Strong Blue(強い青蛍光)、Very Strong Blue(非常に強い青蛍光)の5段階に分類されます。
ダイヤモンドを触ると冷たく感じるのはこのためです。
類似石には、ガラス、キュービックジルコニアのような自然界に存在しないものと、ジルコン、クオーツのように天然の類似石があります。人工合成ダイヤモンドは人工的に自然界とおなじような環境をつくり製造されています。
●Carat:カラット
●Color:カラー
●Clarity:クラリティ
●Cut:カット
4つのC によって明確に判断されます。
この4Cの分析の評価がダイヤモンドの価値を決める大切な要素です。
1カラット= 0.2 グラム。
カラットという言葉は地中海沿岸で、重量の軽い宝石の重さを量るのに「イナゴ豆( キャロブ)」という豆を使っていたことに由来します。
D カラーに近づくほど値段は高価になります。
また、天然の濃い色がついているものは更に珍しくファンシーダイヤモンドと呼ばれています。なかでもブルー、ピンク、グリーン、レッド系のものは希少性が高くなります。
クラリティの評価の段階は以下の通りです。
●FL(Flawless /フローレス):10 倍拡大で内外部に欠点が発見できない
●IF( Internally Flawless /インターナリーフローレス):10 倍拡大で内部に欠点が発見できない
●VVS1 / VVS2( Very Very Slightly /ベリーベリースライトリー):10 倍拡大で発見困難な内包物がある
●VS1 / VS2(Very Slightly /ベリースライトリー):10 倍拡大で発見がやや困難な内包物がある
●SI1 / SI2(Slightly Included /スライトリーインクルーデッド):10 倍拡大で容易に発見が可能、肉眼で発見できる内包物がある
●I1 / I2 / I3( Included /インクルーデッド):肉眼で容易に発見できる内包物がある
形、面の取り方、輪郭、プロポーション、仕上げという5 つの側面を持ち、形と面の取り方は、原石の特徴を活かし研磨をする人の判断によって最適なものにされます。
カットの評価は、ラウンドブリリアントカットに対してだけ基準を定めており、一般的には最上級のエクセレントから5段階に等級づけされています。
●Excellent(エクセレント)…… 最上級品、光学的に理想的
●Very good(ベリーグッド)…… 優れている
●Good(グッド)…… 良好
●Fair(フェアー)…… やや劣る
●Poor(プアー)…… 劣る
カット、対象性、研磨の状態のそれぞれがエクセレントの評価を受けたダイヤモンドのことを3EX(トリプルエクセレント)と呼びます。
また、ラウンドブリリアントカットでエクセレントカットの中でも、カットバランスのいいものはダイヤモンドの中に8個のハートと8本の矢がくっきりと現われることからハートとアローとよばれています。どちらも、高品質のダイヤモンドと評価されます。
ダイヤモンドのまばゆいきらめきは精緻をきわめた正確なカットにかかっています。
最終的に選ばれるカットの形は、持つ人の好みによりますが、どんな形に仕上げられるかは全て職人の技術とイマジネーションに委ねられています。
カットの種類は、最もポピュラーなラウンドブリリアントカットの他、マーキース、ペアシェイプ、エメラルド、オーバル、バケット、ハートがあり、場合によっては少し奇抜で創造的なものまで、いろいろな形があります。
ダイヤモンドは油やホコリが付きやすいため、特に裏側を洗浄してください。
石留めが緩くなっていると、お手入れの最中に外れてしまうことがありますので注意してください。
②その中にダイヤモンドジュエリーを浸し、汚れを浮き立たせる。
③枠と石の間など、やわらかい歯ブラシなどで汚れを取り除く。
④水かぬるま湯でよく洗う。
⑤タオルで水分を拭き取り乾かす。
超音波洗浄でブラシなどでは落ちにくい細かな部分のクリーニングが行えます。
また、長年使用していると石留めが緩んで大切な宝石を落としてしまう場合があるので、クリーニングも兼ね、6か月から1年くらいに一度の定期点検をお勧めします。
※モース硬度とは?
一般的な鉱物を10 種類選び、互いに引っかき傷をつけられるかどうかで鉱物の硬度を求める経験的な尺度です。ヌープ硬度とは、ダイヤモンドの先端を対象物の表面に押しあて、そのキズの状態で判断する硬度です。
モース硬度に比べると、数値の増加と硬さの増加とが、より連続的に対応するため、硬度の定量的指標として用いられます。
※比重と屈折率とは?
比重は石の密度を表す値で、値が大きいほどサイズの割に重たくなります。また、真空中の屈折率を1.0 として、 その数値が高ければ高いほど入る光に対しての屈折の度合いが大きくなり、美しい輝きを宝石にもたらします。
世界一巨大なダイヤモンド原石で、その大きさは3,106.75ct。これからカットされた石の多くはイギリス王室へ寄贈されました。
ホープ・ダイヤモンド
レア度の高いファンシーブルーダイヤモンドで大きさは45.5ct あります。ホープ・ダイヤモンドを所持していた人たちに必ず不幸が訪れているということから「呪いのダイヤ」と呼ばれています。
コ・イ・ヌール
こちらは世界でもっとも古いといわれています。もともと186ct あったダイヤはカットされ108.93ct となっています。現在はイギリス王室に所蔵されています。
センテナリー
デビアス社100 周年を記念して公開されたダイヤモンドで273.85ct。センテナリーとはラテン語で百周年を意味します。カラーグレードが D(無色)にランクされ、内部、外部共に無傷の最高品質を誇る希少なダイヤモンドです。
ゴールデン・ジュビリ
ファセット・カットを施されたダイヤモンドの中では、現時点で世界最
大の545.67ct を誇っています。現在はタイ王室に所蔵されています。
ヨンカー・ダイヤモンド
1934 年にハリー・ウインストン氏が手に入れたダイヤモンドで、その大きさは当時発見されていた原石のなかでは2番目に大きく726ct もあり、最高品質の原石でした。
◆ 1.ダイヤモンドとは
1.1 ダイヤモンドの歴史
◆ 2.ダイヤモンドの希少性
2.1 ダイヤモンドの産出国
◆ 3.ダイヤモンドの物質的性質
3.1 ダイヤモンドの硬度
3.2 ダイヤモンドの比重
3.3 ダイヤモンドの屈折率と分散率
3.4 輝きの3要素
3.5 結晶構造
3.6 ダイヤモンドの疎水性と親油性
3.7 ダイヤモンドのタイプ
3.8 ダイヤモンドの傾向性
3.9 ダイヤモンドの熱伝導性
3.10 天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンド
◆ 4.ダイヤモンドの4C
4.1 ダイヤモンドの4Cとは?
4.2 Carat:カラット(重さ)
4.3 Color:カラー(色)
4.4 Clarity:クラリティ(透明度)
4.5 Cut:カット
4.6 ダイヤモンドの主なシェイプ一覧
4.7 ラウンドブリリアントカットの部位の名称
◆ 5.ダイヤモンドのお手入れ方法
5.1 自宅でのクリーニング
5.2 自宅でのクリーニングの手順
5.3 プロのお手入れ
◆ 6.宝石各種早見表
6.1 国別誕生石一覧
6.2 星座石
6.3 モース硬度表(ヌープ硬度表)
6.4 結婚記念日宝石一覧
6.5 比重と屈折率
6.6 リング国際サイズ比較表
6.7 有名なダイヤモンド
1.ダイヤモンドとは
ダイヤモンドは、炭素の同素体の1つであり、地球上の天然石で最も硬い物質です。
数億~数十億年ほど前に、地球深部で超高温、高圧力を受けたマグマの中の炭素成分が、ダイヤモンドに結晶化しました。マグマの中で成長したダイヤモンドは火山の噴火や地核変動を受けて地表近くに噴出し、それが現在、我々が手に入れられるダイヤモンドです。
ダイヤモンドという名前は、ギリシア語の αδάμας(adámas アダマス 征服し得ない、屈しない)に由来しています。
4月の誕生石であり、宝石言葉は「永遠の絆・純潔・不屈」など。その石言葉から、エンゲージリングに選ぶ人が最も多い石です。
1.1 ダイヤモンドの歴史ダイヤモンドが人間の目に最初に留まったのは紀元前7、8世紀頃で、インドの川でのことです。以来長い間、インドの川床の砂されき礫の中から拾われてきました。
やがて、15世紀にベルギーで現代に通ずる研磨法が発見されます。その後研磨技術が発達し、輝きを美しく見せるようなカットの方法が考えだされることによって、徐々に宝石としての価値が高まり、ヨーロッパの王侯貴族の間ではダイヤモンドを所有することが流行しました。
ダイヤモンドの産地は、長い間インドだけでしたが、18世紀にはブラジルでも発見されました。そして19世紀後半には、南アフリカでも発見されて採掘が始まりました。その後、さまざまな国で発見されています。
2.ダイヤモンドの希少性
地球内部の非常に高温高圧な環境で生成されるダイヤモンドは定まった形で産出されず、いろいろな形があります。素直に成長した結晶構造の多くは8面体(オクタへドロン)で2つのピラミッドを底辺で上下逆さまにくっつけたような形をしています。8面体以外に12面体(ドデカヘドロン)のものもあります。8面体や12面体の良質な原石はわずかしか産出されません。マグマの高温高圧な状況下で結晶がねじ曲がってしまっているものがほとんどです。産出されるダイヤモンドの80%以上は工業用として使用され、宝飾用は20%以下と、とても希少価値の高い宝石です。
2.1 ダイヤモンドの産出国現在では、ロシア、ボツワナ、コンゴ、オーストラリア、南アフリカ、ナミビアなどが主な産地となっています。
インドで紀元前7~8世紀に発見された当初の採掘は、川床の砂礫の中から拾うというスタイルでしたが、現在では、露天掘りや地下採掘方法などが主流になっています。
3.ダイヤモンドの物質的性質
3.1 ダイヤモンドの硬度ダイヤモンドは自然界で最も硬い物質で、モース硬度は10 です(P16)。
ダイヤモンドは炭素原子の集合体で、元素同士の結合間隔、方向がどこから見ても一定で、ゆがみがありません。そのため炭素原子同士の結びつきが非常に強いのです。それがダイヤモンドが硬い最大の理由です。
3.2 ダイヤモンドの比重ダイヤモンドの比重は3.52 です(P18)。
比重とは鉱物で使われる場合、石の密度を表す値となります。
ダイヤモンドの比重は鉱物の中では、高くも低くもなく、比重は石の価値とは関係ないといえます。
3.3 ダイヤモンドの屈折率と分散率屈折率とは、光が進む角度の比であり、入射した光が曲がって進路を変える度合いを示す率です。分散率とは、光の波長によって屈折率が違うことをいいます。通常は、波長が短くなるほど屈折率が大きくなります。分散率が大きいと、光が虹色に分かれやすくなります。虹色に分かれたほうが、複雑な輝きになります。
ダイヤモンドの屈折率は2. 42 と高く、物質中で最も大きい部類に入ります。内部で全反射が起こりやすく、それゆえに美しく輝きます。分散率も、0.044 と高く、これらの特性がカット加工を施したダイヤモンドの輝きを生み出します。
3.4 輝きの3要素ダイヤモンドの美しさは、他の宝石には見られない「3つの輝きの効果」によるものです。
●ファイアー:プリズムによる虹色の輝き(ディスパージョン)
ダイヤモンドが特に屈折率と、分散率が高いことにより、入った光が内部で複雑に反射を繰り返すことによって赤や青などの光に分解され外に出てきます。この効果によってダイヤモンドは虹色に輝きを放ちます。
●ブライトネス:ダイヤモンドを正面から見たときの白色光(ブリリアンシー)
ブライトネスとは、ダイヤモンド全体から出てくる光による効果のことです。
上から入る全角度の光は、中央に集約されて、強く明るい光の集合となって内部反射しダイヤモンドならではの明るさの存在感を示します。
●スパークル:主にファセット面からの反射光(シンチレーション)
外部、または内部からのファセットの反射のことをスパークルといいます。ダイヤモンドの反射の力はガラスの約4倍。したがって、カットグレードのポリッシュ(仕上げ)はこの美しさの大切な要素となります。
3.5 結晶構造ダイヤモンドは4方向に完全な劈開(特定の平面に平行に割れる性質)をもっています。そのため、自然界で一番硬いダイヤモンドですが、ある方向に力が加わると剥がれるように割れてしまいます。特定の衝撃には非常にもろい面があり、落としたりぶつけたりすると欠けたり割れたりする可能性もあるので、取り扱いには注意が必要です。
この特性を用いてダイヤモンドはカットされています。素直な原石は丸みを帯びた8面体、12 面体が素直に成長したダイヤモンド原石といえます。
3.6 ダイヤモンドの疎水性と親油性ダイヤモンドは疎水性を持ちますので、水をはじきます。
その一方で、親油性があり、油が付きやすい性質を持っています。皮脂や、化粧品などの油分などで簡単に石が曇ってしまうため、ダイヤモンドの輝きを保つには、こまめなお手入れが重要となります。
3.7 ダイヤモンドのタイプダイヤモンドは窒素元素の有無により、2つのタイプに分類され、それぞれがさらにa 型、b 型に分けられます。
タイプ1型......窒素を含むタイプのダイヤモンド。天然ダイヤモンドの全体の約98%はこのタイプに分類される。
●1a型……窒素原子が集合体を作っている。一般的なダイヤモンドのほとんどがこのタイプで、カラーはDからZ。
●1b型……窒素が単独で存在している。ファンシーインテンスイエローなど濃い黄色系を生む。
タイプ2型……窒素を含まないタイプのダイヤモンド。このタイプのダイヤモンドは天然ダイヤモンド全体の約2%ほどしかないといわれている。
●2a型……窒素やホウ酸など不純元素を含まない。無色、褐色、ピンクが存在する。
●2b型……不純物としてホウ素を含む。ブルーダイヤモンドはこのタイプに属す。
3.8 ダイヤモンドの蛍光性天然のダイヤモンドの中には、可視光線以外の波長の短いX 線や紫外線など、特殊な光源下で蛍光を発するものがあります。
その程度により、None(全くなし)、Faint(かすかに)、Medium Blue(中程度の青蛍光)、Strong Blue(強い青蛍光)、Very Strong Blue(非常に強い青蛍光)の5段階に分類されます。
3.9 ダイヤモンドの熱伝導性ダイヤモンドは高密度で硬いため優れた熱伝導性があります。
ダイヤモンドを触ると冷たく感じるのはこのためです。
3.10 天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンド天然ダイヤモンドと間違えやすいものの中に、人工合成ダイヤモンドとダイヤモンド類似石があります。
類似石には、ガラス、キュービックジルコニアのような自然界に存在しないものと、ジルコン、クオーツのように天然の類似石があります。人工合成ダイヤモンドは人工的に自然界とおなじような環境をつくり製造されています。
4.ダイヤモンドの4C
4.1 ダイヤモンドの4Cとは?ダイヤモンドの品質基準は、
●Carat:カラット
●Color:カラー
●Clarity:クラリティ
●Cut:カット
4つのC によって明確に判断されます。
この4Cの分析の評価がダイヤモンドの価値を決める大切な要素です。
4.2 Carat:カラット(重さ)他の宝石も同様ですが、ダイヤモンドの重さはカラットで表示します。
1カラット= 0.2 グラム。
カラットという言葉は地中海沿岸で、重量の軽い宝石の重さを量るのに「イナゴ豆( キャロブ)」という豆を使っていたことに由来します。
4.3 Color:カラー(色)無色をD カラーとし、E、F、G……Z(黄色)とアルファベットの順に黄色味の程度を表示したものです。この他にブラウン系、グレー系の程度がカラーの美しさに影響する大切な要素になります。
D カラーに近づくほど値段は高価になります。
また、天然の濃い色がついているものは更に珍しくファンシーダイヤモンドと呼ばれています。なかでもブルー、ピンク、グリーン、レッド系のものは希少性が高くなります。
4.4 Clarity:クラリティ(透明度)内包物(インクルージョン)の特徴とキズなどの外部(ブレミッシュ)の特徴を記号で表示します。その種類、場所、大きさや性質がダイヤモンドの耐久性と美しさに影響します。インクルージョンが少なければ少ないほど宝石の希少価値は高くなります。
クラリティの評価の段階は以下の通りです。
●FL(Flawless /フローレス):10 倍拡大で内外部に欠点が発見できない
●IF( Internally Flawless /インターナリーフローレス):10 倍拡大で内部に欠点が発見できない
●VVS1 / VVS2( Very Very Slightly /ベリーベリースライトリー):10 倍拡大で発見困難な内包物がある
●VS1 / VS2(Very Slightly /ベリースライトリー):10 倍拡大で発見がやや困難な内包物がある
●SI1 / SI2(Slightly Included /スライトリーインクルーデッド):10 倍拡大で容易に発見が可能、肉眼で発見できる内包物がある
●I1 / I2 / I3( Included /インクルーデッド):肉眼で容易に発見できる内包物がある
4.5 Cut:カットきらめきや輝きを引き出す研磨のことで、この良し悪しがダイヤモンドの美しさや価値を決定づけます。他の3つのC とは異なり、カットは人間が直接影響を与えるものです。
形、面の取り方、輪郭、プロポーション、仕上げという5 つの側面を持ち、形と面の取り方は、原石の特徴を活かし研磨をする人の判断によって最適なものにされます。
カットの評価は、ラウンドブリリアントカットに対してだけ基準を定めており、一般的には最上級のエクセレントから5段階に等級づけされています。
●Excellent(エクセレント)…… 最上級品、光学的に理想的
●Very good(ベリーグッド)…… 優れている
●Good(グッド)…… 良好
●Fair(フェアー)…… やや劣る
●Poor(プアー)…… 劣る
カット、対象性、研磨の状態のそれぞれがエクセレントの評価を受けたダイヤモンドのことを3EX(トリプルエクセレント)と呼びます。
また、ラウンドブリリアントカットでエクセレントカットの中でも、カットバランスのいいものはダイヤモンドの中に8個のハートと8本の矢がくっきりと現われることからハートとアローとよばれています。どちらも、高品質のダイヤモンドと評価されます。
ダイヤモンドのまばゆいきらめきは精緻をきわめた正確なカットにかかっています。
最終的に選ばれるカットの形は、持つ人の好みによりますが、どんな形に仕上げられるかは全て職人の技術とイマジネーションに委ねられています。
カットの種類は、最もポピュラーなラウンドブリリアントカットの他、マーキース、ペアシェイプ、エメラルド、オーバル、バケット、ハートがあり、場合によっては少し奇抜で創造的なものまで、いろいろな形があります。
4.6 ダイヤモンドの主なシェイプ一覧
4.7 ラウンドブリリアントカットの部位の名称
5.ダイヤモンドのお手入れ方法
ダイヤモンドは油やホコリが付きやすいため、特に裏側を洗浄してください。
5.1 自宅でのクリーニングまず、自宅でクリーニングを行う前に、石留めが緩くなっていないかを確認します。
石留めが緩くなっていると、お手入れの最中に外れてしまうことがありますので注意してください。
5.2 自宅でのクリーニングの手順①ボールなどにぬるま湯を入れ、中性洗剤を溶かす。
②その中にダイヤモンドジュエリーを浸し、汚れを浮き立たせる。
③枠と石の間など、やわらかい歯ブラシなどで汚れを取り除く。
④水かぬるま湯でよく洗う。
⑤タオルで水分を拭き取り乾かす。
5.3 プロのお手入れ本格的にクリーニングをしたい場合は、購入した宝石店へ持っていきましょう。
超音波洗浄でブラシなどでは落ちにくい細かな部分のクリーニングが行えます。
また、長年使用していると石留めが緩んで大切な宝石を落としてしまう場合があるので、クリーニングも兼ね、6か月から1年くらいに一度の定期点検をお勧めします。
6.宝石各種早見表
6.1 国別誕生石一覧
6.2 星座石
6.3 モース硬度表(ヌープ硬度表)
※モース硬度とは?
一般的な鉱物を10 種類選び、互いに引っかき傷をつけられるかどうかで鉱物の硬度を求める経験的な尺度です。ヌープ硬度とは、ダイヤモンドの先端を対象物の表面に押しあて、そのキズの状態で判断する硬度です。
モース硬度に比べると、数値の増加と硬さの増加とが、より連続的に対応するため、硬度の定量的指標として用いられます。
6.4 結婚記念日宝石一覧
6.5 比重と屈折率
※比重と屈折率とは?
比重は石の密度を表す値で、値が大きいほどサイズの割に重たくなります。また、真空中の屈折率を1.0 として、 その数値が高ければ高いほど入る光に対しての屈折の度合いが大きくなり、美しい輝きを宝石にもたらします。
6.6 リング国際サイズ比較表
6.7 有名なダイヤモンドカリナン
世界一巨大なダイヤモンド原石で、その大きさは3,106.75ct。これからカットされた石の多くはイギリス王室へ寄贈されました。
ホープ・ダイヤモンド
レア度の高いファンシーブルーダイヤモンドで大きさは45.5ct あります。ホープ・ダイヤモンドを所持していた人たちに必ず不幸が訪れているということから「呪いのダイヤ」と呼ばれています。
コ・イ・ヌール
こちらは世界でもっとも古いといわれています。もともと186ct あったダイヤはカットされ108.93ct となっています。現在はイギリス王室に所蔵されています。
センテナリー
デビアス社100 周年を記念して公開されたダイヤモンドで273.85ct。センテナリーとはラテン語で百周年を意味します。カラーグレードが D(無色)にランクされ、内部、外部共に無傷の最高品質を誇る希少なダイヤモンドです。
ゴールデン・ジュビリ
ファセット・カットを施されたダイヤモンドの中では、現時点で世界最
大の545.67ct を誇っています。現在はタイ王室に所蔵されています。
ヨンカー・ダイヤモンド
1934 年にハリー・ウインストン氏が手に入れたダイヤモンドで、その大きさは当時発見されていた原石のなかでは2番目に大きく726ct もあり、最高品質の原石でした。